「国民の声」の感想等

http://koe.openlabs.go.jp/(14日正午終了)

「国民の声をネットで募集」という政府の企画に参加してました。
比較的初期から参加してた上、暇な時間にアイディアやらコメントやら大量投稿していたので、本日募集期間が終わったのはなにやら感慨深い感じw


基本的にこういう企画はいいと思いますし、サイトの使い勝手もなかなか。
あとはちゃんと意見が国政に反映されるかどうかですが、個人的には「しょせん参考程度なのだろうな…」と諦めの境地に達してますw
それでも政府のお役人が、全てのアイディアに一度目を通してくれるのであれば、投稿した意義はあったかと。
…全く読まれなかったらさすがに怒りますけどねw


2週間ちょっとサイトを眺めていて、頭に浮かんだことをいくつか。


1.ネットで意見を募ると、参加者が特定の層に偏る

まぁこれはやむを得ないことだとは思うのですが。
「日本独自のOSを…」みたいなアイディアに対し、かなり突っ込んだコメントが寄せられたことからも、SEとかウェブデザイナーとかそっちの業界の人が多かったのかなと。
あと、一部の人が派手に宣伝したからかもしれませんが、「表現規制反対!(特に「非実在青少年絡みの」)」という人が非常に多かったのも印象的。
いずれにせよ「ネット」という媒体でなければ、提案されたアイディアや交わされる意見は大きく異なったものだったと思います。


2.国民の公務員に対する期待(とその反動としての落胆)が非常に大きいw

公務員、特に官僚に対して報酬の削減や、不正の厳罰化を望む声が多くてちょっとびっくり。
あと、具体的な施策を挙げずに「この問題をなんとかして!」という意見が多かったのは、日本の公務員がある意味頼りにされてるからではないでしょうか?
イタリアとかだったらみんなが「どうせ何言っても無駄だろ?」と考えて、誰も投稿しない気がするし。
そんなわけで私にとっては、日本人の公務員への期待の大きさを再認識した企画でした。
…もしかしたら個々の公務員を頼りにしてるのではなく、漠然とした「お上」という概念を頼っているのかもしれないけど。


3.この手の企画を派手に宣伝せずに放置しておくと、開始から3週間ほど経ってから参加者が爆発的に増える

開始当初から「3週間」という期間に関して、「もしかしたら…」と思っていたのですが、実際に終盤の参加者の伸びを見て確信しました。
たぶん「3週間」くらい経つと参加者が爆発的に増え、集計の手間が大きくなる上に意見の質が下がる、という読みがあったんでしょうね。
おそらく早い段階から参加している人間は(自分を含むわけなので、手前味噌だけど…)、ある程度ネットを使ったコミュニケーションに慣れていて、政治への関心も比較的強い、という人物なんだと思います。
そういう人間から意見を募る分には、膨大な手間がかかるわけでもないし、企画の趣旨から大きく逸脱した提案も少ないので、わりと安全だという…
特定の意見に対し、「組織票」が集まり始めたのも、開始から2週間ほど経ってからでしたしね。


そんなわけで、多くの方が「国民の声」の常設を望んでいるようだし、私もそれを願ってはいるのですが、実際に常設されることはまずないかなと。
もし仮に常設されるとしたら、それこそ各省庁のHPにある「ご意見募集」欄程度のサイトにランクダウンするんだと思います。
残念と言えば残念なのですが、私としては期間設定の巧妙さにむしろ感心しました。
おそらく「半年に一度」というのも重要なのでしょうね。
そのくらい期間を開ければ、ヒステリックなクレーマーがサイトの存在を忘れ、再設置しても安全だという…
もしかしたらウェブの世界ではよく使われるテクニックなのかもしれませんが、私はあまりそういった発想が頭になかったので、素直に感心しました。
なるほどね〜


…他にも期間中に考えたことを思い出したら追記します。


ちなみに私にとって一番収穫だったのは、自分の意見を文章の形にまとめ、かつ他者からそれに対するコメントをもらうことで、かなり自分の意見が具体的なものになった、ということです。
「鋭い(的を射た)コメントで自分のアイディアの問題点が明らかになった」という場合もあるのですが、やや提案の趣旨から逸れた意見に重要なことを気づかされることがある(異なる視点の提供であったり、一般的な物の考え方の提示であったり)ので、いろいろ得る物があったかなと。
また、こういうブレインストーミング的なことを「ネット」という場でするのは非常に重要だと思いますね。
会社とか研究室でいわゆる「ブレインストーミング」をやっても、ある程度知識・発想が似通っているので、さほどの効果はなかったりしますが…
ネットで同一の話題に書きこむ人間は、関心事が共通していてもバックグラウンドがかなり異なるので、新しいことに「気づかされる」ことが多いです。
まぁ全くかみ合わない場合もあるので、ある程度辛抱強さは必要ですが…


最後にちょっと政策の話になるのですが、他の参加者の方が書かれていた「規制は社会コストを増大させる」というの意見が、現実的な政策を考える上での指針を提示しているように思います。
もちろん規制も法改正もなしに現状のままだと、不合理な問題が放置されてしまうので、「規制せずに解決する」ことが求められるわけですが…
これは簡単なことではないですが、一つの方向性は「情報開示」かなと。
「好きにやっていいから、ちゃんと情報は示せ」と言っておけば、好きにやりたい者(企業、個人等)は好きにやるでしょうし、他者からの印象を重要視する者はある程度行動を自主規制するでしょう。
社会で生じる問題の多くは、「二者(場合によっては三者以上)間のトラブル」だと思いますが、一方に好きにやらせておいても、もう一方に相手が何をやっているかをきちんと伝えておけば、本人が安全かどうかを判断し、自分にとって望ましい選択(その好き勝手やる人間と付き合うのかどうか)を選ぶことができると思います。
まぁ参加された方はそれぞれが何らかの結論に達したと思うのですが、私の場合はそんな感じ。


「国民の声」で意見を交わした方は、また半年後にお会いしましょう〜(たぶん空いた時間にまた書きこむはず)
それでは〜ノシ