マッキンゼーをつくった男

マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー』という本を読んでいます。

マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー

マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー

まだ読んでる途中なんですが、面白いです。
「経営の手法」とか「コンサルタントの心構え」みたいなものを求めてる人が読むと少し不満かもしれませんが、純粋に伝記として読んだら楽しめました。
それにしても、こういう人物が出てくるアメリカってすごい!


いくつか印象的な文章があったので、ちょこっと引用してみます。
まず法律事務所勤務時代に、大恐慌で倒産した企業の後始末を任された時の一節。


「調査に当たっては、まず破綻企業のCEOに話を聞き、次に順々に関係者、とくに災厄を予想できた人物や回避できたはずの人物から事情を聞くというのがマービンのやり方だった。(中略)十一社はけっして無能なCEOのせいで倒産したのではないことをマービンは知ったのである。どのCEOもきわめて優秀だった―ただ彼らには情報が不足していた。
十一件の経緯を知るにつれ、CEOが情報から遮断されてさえいなければ会社は倒産せずに済んだはずだとマービンは強く感じるようになる。(中略)わるいのは上下関係であり、上への服従あるいは盲従だとマービンは考える。部下というものは、いま何が起きているのかを上司に話そうとしない。その連鎖でCEOは孤立する。それがおぞましい結果を招くことにマービンは心底怒りを感じた。」


で、そういう問題を解決する仕事をしよう、と決意するわけです。
なるほど…経営コンサルタントってそういう側面もあるんですね。
確かに今の世の中に必要な仕事だわ。つか、1930年代にすでにそういう発想に至っていたというはすごいね。


また、マービン・バウワーの長所として、「誠実さ、現実的、高い規範、他人の尊重、コミュニケーション能力、配慮と献身」を挙げた後で、以下の文章。


「こうしてマービンの資質を書き連ねてみると、そこに存在しないものに気づかされ興味深い。カリスマ性や人心掌握、目から鼻に抜ける才気、革新的な発想力といったものは、マービンとは無縁なのだ。」


ふーむ…なんというか女性的な人物ですね。(こういうところで「女性的」という言葉を使うのは差別的かもしれんけど)
「聞き取り調査で問題点を探り、情報の齟齬をなくす」という手法もある意味女性的。
でもそういう戦略こそが、まさに現代社会で求められているものなんでしょうね。
で、マッキンゼーという組織全体にそういう特性が浸透している。
なるほどね〜


他にも年代ごとのマッキンゼーの動きとマービン・バウワーの行動とか、個々の案件でのエピソードなんかが書かれてました。
どの章も読み応えがありますね。


それにしても…
アメリカではそんな具合に、1940年代から優秀なコンサルタント達によって企業の合理化が図られてきたみたいですが…
日本では相変わらず「マッチョ」な方々が会社を動かしており、相も変わらず「コミュニケーション不全」によって失敗していますよね。
むむむ…が、頑張れ、日本の経営コンサル!日本の将来は君たちの肩にかかっている!!(かもしれない)


他にもいろいろ書きたいことがあるんですけど、今日はこの辺で寝ます。
明日最後まで読んで続きを書こうっと。
おやすみなさい〜