終身雇用

ふと思ったんですが、改めて考えると「終身雇用」ってとんでもない制度じゃないですか?
定期昇給」を維持するのが、特殊な条件下(国全体が発展し続ける)でないと無理だからってのもありますけど、ある意味「終身雇用」ってのは「共産主義」と同じで「成果が出なくてもクビにならない」わけだから、労働意欲を維持するのは非常に困難だったはずです。
ソ連も中国も(純粋な)共産主義は諦めたというのに、なぜ日本ではそんなシステムが存在しえたんでしょうか?


うーん、実際に世の中を見回した感じだと、やっぱりそういう雇用体系の中で「成果を出さなくても平気だということが分かり、手を抜くようになった」人間はけっこういますよね。
それでも会社はある程度の生産性を維持できたのは…
「会社への忠誠心」や「仕事のやりがい」や「同期との出世競争」のために、サボってもクビにならないのに頑張り続けた人間が一定数いたからでしょう。
日本人はマジメだな〜


でも「会社への忠誠心」とか「仕事のやりがい」とか言うと聞こえはいいけど、クビにもならんのに働き続ける人間って異常じゃないですか?
もちろん、人間はやりがいのある仕事であれば楽しめる生き物だから、「主体的に労働する」こと自体が異常とは思わないんですけど、でも同じ会社で同じような仕事をし続けるのはどう考えてもおかしい。
だいたい、大学出たときに適当な理由で選んだ会社の仕事に「やりがい」を見出せる確率なんて非常に低いはずです。
なぜ、そんな無茶が可能だったんでしょうか?


…うーん、やっぱり日本人って「洗脳されやすい」んじゃないの?
先天的なものも多少ある気がするし、文化や教育も「洗脳」に都合のいいようにできているような。(「目上の人の言うことは絶対」とか)
大学でも「自分で考えさせる」ということはあまりさせないしね。
んでしかも会社に入ったらあからさまな「洗脳」教育をするわけですよね。
さらに、福利厚生や社会保障も国より会社に依存するシステムだから、経済的にも「会社頼み」になりやすい。一度辞めると再就職しづらいというのもあるし。
でも上場企業が毎朝社長の写真に向かって敬礼させるのは異常だと思うけどな〜
北朝鮮と変わらないんじゃない?w


そういう意味では、子供の頃からいろんな情報に晒されて、上の世代より「まとも」な若者が会社からドロップアウトするのは当然なのかもしれませんね。
残念ながら「洗脳」が効きにくいですから。


じゃあ他の国で会社組織が成り立っているのはなぜ?という疑問が生じますが、それはおそらく、若者が学ぶのに適した環境が整っているからでしょう。
上司が理不尽に恫喝したりしないし、教育システムも整備されている。
ゆえに忠誠心は持たなくとも、「しばらくここで働くのが合理的だ」と判断して、相応の期間、会社に留まるという。


しかし日本の会社の中には、今だに「若者は洗脳できる」と思ってる会社がけっこうある気がします。
当然若者はどんどん辞めてくわけだけど、会社の老人達は自分たちが異常だとは思ってないから、「最近の若者は根性がない」とか寝言をほざくわけですw
まぁ今でも「洗脳」されやすい若者は一定数残ってるから、なかなか時代の変化に気づかないのかもしれなけど。


まぁまっとうな会社であれば、そういった意識の変化を感じ取り、「システムを変えねば…」と考えるわけですが…そうなると問題が生じる。
社内にいる老人達が抵抗勢力になるわけです。
依然として「洗脳」されたままの「勤勉な老人」は「最近の若者はだらしない!」と憤るわけですが、老人の中には「洗脳」されてない(あるいはすでに解けている)者もいる。しかしそういう老人も若者と理解しあえるわけではありません。


「終身雇用」のシステムにおいて、「洗脳」されてる人達は猛烈に働くわけですが、「洗脳」されてない人達は「サボってても大丈夫」と考えている。
こういう人達は、若者に対してそれほど文句は言わないけど、まとも働こうともしない。
相応の地位に就いてそれなりの給与をもらっているにも関わらず、です。
そういう人間に対し、報酬は労働の成果に応じてもらうべきだと考える若者は「怠惰だ」と感じるし、自分の上司がそういう人物なら「やってられん」と思うでしょう。
結局そこでも世代間の価値観のギャップが生じるわけですね。
なかなかに問題は根深い…