自己責任?

アメリカは「自己責任」の国だと言われます。
所得の格差は他国より大きいけれど、成功するチャンスは平等に与えられるから、富を得るのも貧窮するのも自分の責任なのだと。
まぁ親の経済力の違いとか人種差別とかもあるので、実際のところ「チャンスが平等」とは言えないわけですが、一応そういう価値観が国全体に根付いている。


で、常にアメリカの後を追う日本でも、最近「自己責任」という言葉がよく聞かれるようになりました。
「会社選びは『自己責任』なのだから、会社が合わずにすぐに離職することになるのは本人のせいだ。」とか、
「キャリア設計は『自己責任』なので、再就職先がなかなか決まらないのも本人の責任だ。」など。


…ん?でもそれって本当に「自己責任」?


確かにどの会社を選ぶかは個人の判断に委ねられているし、熟慮して決断すべきだとは思うけど…
例えば入社前は「残業20時間以下!充実した福利厚生!」などと謳っていた会社が長時間のサービス残業を強要したり、有休の使用を拒否したりする会社だったらどうすればいいの?(まぁこの例は今の日本では「よくある話」なので、あらかじめ2chなどで情報を仕入れて回避する人もいますが…)
入社後に希望とまったく異なる部署に配属され、おまけに数年ごとの配置換えでなんら専門性が身に付かず、転職市場で相手にされなくなるのも「自己責任」?
なんか釈然としない…


アメリカの「自己責任」は、徹底した情報開示と契約主義、そして契約や法律は遵守するという文化の下で成り立っているわけですよね。
必要な情報が手に入り、物事がある程度理屈どおりに動く。
そういう環境だからこそ自分で先のことを見通して決断することができるわけです。
でも日本の場合はそういった前提が成り立たないから、結局その場その場で周囲に合わせて動くしかない。
そんな国で、個人に「自己責任」を求めるというのは、社会的に立場の弱い人を強者(大企業とか)の餌食にするだけなのではないでしょうか?


というわけで、やっぱりうわべだけの「アメリカ追従」はすごく危険な気がします。
…どうせやるなら徹底的に!