大学改革の障害

昨日ちょこっと「大学をどうにかせねば…」みたいな話を書きました。(若者殺しの構造 - jotunの独り言
んで、今日は「じゃあどうしたらいいのか?」という話を書こうと思います。
「大学院」レベルだと話が複雑になるので、とりあえず今回は「学部」について。


私が考える「大学教育(高等教育)」は、「凡人でも努力次第で優れた能力を身に付けられる」というものなんですけど、それを実現するためにはどうしたらよいか。
とりあえず考え付くのは、すでにそういう(orそれに近い)教育を実現している、アメリカのやり方を模倣することでしょう。


私は留学経験ないですが、留学経験者の話を聞く限り、日本との大きな違いは以下の4つ。
1.比較的少人数での授業
2.授業前に大量の資料を読んで予習
3.講師の話を聞くだけでなく、学生も頻繁に意見を求められる
4.成績評価が厳正で、留年者が多く、また大学の成績は大学院進学や就職にも影響力を持つ


ふむ、なるほど。
では上記を日本で実施する場合に問題となるところはどこでしょう?
例えば…
・少人数で授業を行うためには、学生数に対して大学教授の数を増やす必要がある。しかしその財源は?そもそも教育能力のある大学教授がそんなにいるのか?私大の場合、学費を高くすることで有能な教員を多数集められるけど、学費を払える学生は限られてくる。(アメリカはこういう制度なわけだけど。)奨学金制度も変更が必要になる?
・日本企業の採用の方式だと、卒業・成績が確定する前に内定を出すので、内定後に留年したりするともめそう。あと成績評価を厳正に行っても企業はほとんど気にしてないので、学生の意欲を向上させる効果は薄い?
・そもそも日本の学生が上記のようなカリキュラムについていけるのか?


最後の問題に関しては「訓練次第で可能」だと私は思っています。
ただ、日本の場合、他にもやっかいな問題がある。それは…
・親が上記のような教育システムに理解を示さない。
どういうことかと言いますと…


個人的な話で申し訳ないんですが、私が学部時代に所属していた学科は上記のようなアメリカ型の教育を目指していたようで、成績評価にあまり手心を加えず、評定が基準に満たない学生は容赦なく留年させていました。
なので年によっては「学年全体の3割が留年」という場合もあったんですけど…そしたらなんと保護者からクレームが来た!
曰く、「実力主義といっても3割は多すぎではないか?毎年学費を払っているわけだから、安易に留年させてもらっては困る」とかなんとか。
たぶん心情としては、「うちの○○ちゃんはマジメに勉強してたのに、留年させられるなんてかわいそうだわ!」って感じなんでしょう。
詳しい経緯は知らないですけど、たぶん学科側は「それがうちの方針ですから」と保護者に反論したのだと思います。
信念を持って上記のようなシステムにしたわけですから、当然の対応でしょう。
ところが…翌年(私の代)は明らかに試験問題が易化していた^^;
結果的に留年者は全体の1割ほどでした。要するに、建前上「方針を貫く」と言ってはみたものの、保護者の剣幕に押されて、日和ってしまったんでしょう。
…こんな具合に、日本での教育改革は、近視眼的な保護者の圧力によって頓挫してしまうのですw


要するに、この国は大人がアホだから、子供も育たないわけですね。納得w


…ただ全く望みがないわけではないと思います。
最近の就職難で、さすがの日本の親も、「大学でしっかり勉強させないと就職できない」ということが分かってきた。
だから、上記のようなシステムは以前(10年くらい前?)よりは受け入れられる可能性が高いでしょう。
スパルタ教育?を売りにしている秋田の国際教養大学が人気で、国民の多くが好意的なのもそれを裏付けていると思います。
そんなわけで…改革するなら今だ!と私は叫びたいのです。
大学関係者に届くがどうかは不明だけど…