男社会とは

「日本はまだまだ『男社会』なので、女性には肩身が狭く…」
なんて話を聞くと、「ん?」という感じがします。
今だにそんな前時代的なことやってるの?」と。


で、日本の中でも保守的な業界の管理職クラスの男性(60代)に「そうなんですか?」と聞くと、
いや〜、もちろん同じくらいの実績があったら女性も男性と平等に扱うけど、なかなか女性で長続きする人は少なくて…
と、なにやら煮え切らない返答。


逆に若手の女性(20代)の話を聞くと、
あからさまなえこひいきがあるわけではないけど、女性に不利なのは明らかだと思う。
みたいな返答。これもイマイチ良く分からないなぁ…結局バイアスがあるの?ないの?


まぁ男性の上司にとってコミュニケーションがとりやすいのは同じ男性の部下だろうし、「気軽に飲みに誘える」とか「無茶な要求を出しても引き受けてくれる」とか、同性(男性)を好む傾向は間違いなくあるとは思うんだけど…
あとやはり古い体質の企業では、出産や子育てを理由に長期休暇を取ることを快く思わないケースがあると思う。
でも前出の女性に聞くと、「そういうことだけではない」とのこと。むむ…


どうもその女性の話を総合すると、
「実績が非常に優れていたら(女性でも)評価されると思うが、なかなかそういう実績は出せない。でもそれは自分の努力不足や実力不足というより、『システム的に女性が不利』だからだと思う。
みたいな主張のようです。
でも「システム的に不利」ってどういうこと?って聞いても、なかなか当を得た回答が得られなかった。うーむ。


…その「システム云々」に関して、私がちょっと心当たりがあるのは、例えば以下のようなケース。


上司:放任主義で、十分な指示を部下に与えない。そもそも業務の内容を自分が十分に把握していない。
部下(男):いい加減な上司に辟易しながらも、試行錯誤して一応業務をまとめ上げ、その上司には気に入られる。
部下(女):上司のあまりのいい加減さにモチベーションが低下し、業務が進まず、上司批判に終始。当然上司との折り合いが悪くなる。


で、男の部下の方が評価されるというパターンで、表面的な解釈をすれば「不満があっても自分なりに最善を尽くせば報われる」という話なんだけども、もっと根の深い問題の場合があるんじゃないかなと。


どういうことかと言いますと…どうしてもそれを説明するなると私なりの「男女の能力の特性の違い」を述べなきゃならないんですが、人によっては承服しかねるかもしれないし、男女差別的な印象を受けるかもしれません。でもそういう意図はないんであらかじめ断っておきます。
てか、「(平均的な)男女の差」なんてのは「個人差」に比べれば微々たるものなんで、当然「平均的な男性以上に男性的な女性」もいれば、「平均的な女性以上に女性的な男性」もいます。ただ、「平均的な男性と平均的な女性の差」を考慮しないと説明できない問題が結構あるので…


前置きが長くなりましたが、一般的に男性と女性の特性の違いとして、以下のようなものがあると思います。


〈情報が十分に与えられないときの対応〉
男性:自分なりに試行錯誤してどうにか対処。
女性:他者から情報を得て対処しようとするが、それが不可能なら問題解決自体を諦めがち。


〈情報が十分に与えられたときの対応〉
男性:情報を生かして問題解決。たまに独断先行して失敗。
女性:情報を生かして問題解決。男性より正確な理解・実行に長けているかも。


〈部下の教育に当たる場合〉
男性:教育の重要性を過小評価し、またノウハウの言語化が不得手なため、十分な情報を部下に伝え(られ)ない。
女性:教育の重要性を認識し、また言語化能力・コミュニケーション力に長けるため、情報を的確に部下に伝達。


…異論があるかもしれませんが、とりあえず置いておいて下さいw
で、仮に男女の能力に上記のような違いがあった場合、男の多い組織ではどのような文化が形成されるか?
「教えるのが下手」で「試行錯誤するのは得意」な人間が多いわけですから、必然的に
上司の指示は最低限で、あとは部下が試行錯誤して解決する」のが当たり前だ、という文化になるでしょう。


こういう文化の会社では、女性は実績を出しにくい。
なぜなら私の見解では、「女性は十分な情報が与えられないと力を発揮できない」から。
で、彼女達は思うように実績が出せず不満を覚えますが、その不満は決して単なる腹いせや責任転嫁ではありません。
なぜなら、「自分が上司なら部下に十分な情報を部下に与えるから」。
もし上司が彼女達と同じような思考パターンを持っていたら、彼女達はその上司の下で実績を出すことができるので、彼女達が主張にも理があるわけです。
しかし実際は「男社会」なのでそういう状況はなかなか訪れず、日々フラストレーションが溜まっていく。
そういうメカニズムなんじゃないですかね?


まぁ上記のような現象が実際に起こっていたとしても、それは女性が「男社会」に適応しづらい数ある理由の一つに過ぎないでしょうが…
いずれにせよ、一度著しく男女比の異なる組織が形成され、そこで一定の文化ができ上がると、少数派が力を発揮するのは難しくなるんじゃないかという話です。目に見える差別がなかったとしてもね。


そんなわけで日本の会社内で女性が十分に力を発揮できる日はしばらく先になりそうですが…
ただ少しずつでも男女比が変化していけば文化自体も変わっていくでしょうし、一定のところでドラスティックな変化が起こる可能性も無きにしも非ず。
それに上記のような「部下への情報伝達の不徹底」に関しては、合理性を追求する会社ではすでに対策が取られているかもしれませんし、業務内容が確立されている分野や競争の激しい分野では、ある程度社内全体での情報の共有が図られていることでしょう。
要するにいずれは女性にとって働きやすい環境になると思うし、男の仕事はどんどん減っていくんだろうなと思う次第であります。
積極的な対策が不要とまでは思わないけども。