「フリー」ビジネスの終焉?

昨日知ったのですが、私も利用しているSmart.fmという語学学習サイトが、有料化されることになったそうです。
英語学習コミュニティーサイト「Smart.fm」3/31にサービス終了へ - はてなニュース
正確に言うと、今あるサイト(iKnow!で英語。ちょっとの努力で、大きな成果を。 - iKnow!)を3月末に閉鎖し、代わりにオープンした新サイト(http://iknow.jp/home)は最初のお試し期間を除き、全面的に課金する(1000円/月)ということみたいですが…
しかしこの手のサイトで「全面課金」ってのは、かなり大胆な戦略。


このサイトが具体的にどういうサイトかというのは、ここでは割愛します。
まぁゲーム感覚で語学の勉強(単語の暗記)ができるサイトと思って頂ければ…
新サイトの方はおそらく「お試し」でアプリを使うこともできるので、興味のある方は試してみて下さい。
TOEIC® > TOEIC 800点を狙え! > TOEIC 800点:リスニング1 - iKnow!(右上の「学習スタート」から実行できると思います)


ちなみに機能が異なりますが、同様に語学学習を行うためのサイトであるLang-8http://lang-8.com/)やLivemocha(Rosetta Stone® - Learn a New Language)では、「基本的に無料だが、課金することでさらに充実したサービスが受けられる」というシステムを採用しています。(「プレミアム・サービス」とかそんな名称で呼ばれてる。)
Smart.fmでも昨年の秋頃に「どんなサービスであれば課金しても使いたいか?」といった内容のアンケートを実施しており、おそらくその時点では「基本的に無料だが、上位のサービスを得るためには課金が必要」というシステムを検討していたと思います。
では、なぜ全面的な課金に踏み切ったのか?


運営側の意図が完全に分かるわけではありませんが、おそらく同業者(Lang-8、Livemocha等)の苦戦ぶりを見て、「プレミアム・サービス(コアユーザーのみを対象にした課金)では採算が取れない」と判断したのでしょう。
この判断が正しいかどうかは今後の展開を見なければ分かりませんが、私はおそらく、ビジネスとしては正しい選択だったと思います。


現在は何らかの形でネットを利用したビジネスが無数に存在します。
そういったビジネスの中には、「無料でまず使ってもらい、気に入ってもらえたら有料版を買ってもらう」というものが比較的多い気がします。
シェアウェア」と呼ばれるソフトウェアは典型的ですし、「無料でも遊べるけど、課金した方が楽しめる」というオンラインゲームもその一種と言えるでしょう。
上記のような語学学習サイトも同様です。
ちなみにその手のビジネスに興味のある方には以下の書籍をお薦めします。

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略


んで、「なぜSmart.fmはそのモデルを捨てたの?」という話なんですが、上記のようなビジネスは、「無料の段階でどの程度の機能(サービス)を提供するか?」がかなり重要になってきます。
「無料だとほとんど使い物にならない」では、せっかく無料で提供してもなかなかユーザーが増えない(世に広まらない)ですし、逆に「無料で何不自由なく使える」のであれば、お金を払ってさらに高度な機能を手に入れようという気にならないので、これもビジネスとして成立しません。
語学学習関係のサイトの多くは、無料でも多くの機能を提供し、ユーザーを増やすことに成功しているのですが、気前よくサービスしてしまったために、「課金(≒収益化、マネタイズ)」のプロセスで失敗しているように思います。


Smart.fmがもし「基本的に無料」のスタンスを維持したまま、一部のユーザーに対してのみ課金を行おうとしたら、会員数は増え続けたでしょうが、有料会員は伸び悩んだでしょう。
今回のように「原則無料をやめ、全員に課金」することで、ユーザーの増加は見込めなくなりましたが、サイトのコアな機能を評価しているユーザーから確実に収入を得ることができます。
ゆえにユーザーとして今回の有料化は少々残念ですが、ビジネスとしては正しかったのではないかと。
今後、同業のLang-8辺りがどう動くのかも気になる所です。


ちなみに私はSmart.fmのヘビーユーザーなので、今日書いたビジネスモデルの話以外にもいろいろと書きたいことがありますw
まぁ、それはまた次の機会に…